平成のエラリー・クイーンが挑む “日常の謎” 連作集『風々丘五十円玉祭りの謎』を読んでみた

　こんばんは、masakimaryです。

　今回は、天才・裏染天馬とその妹・鏡華が学内外で起こる不可思議な出来事の謎を解く『風々丘五十円玉祭りの謎』を紹介します。
　※ネタバレ注意
　
内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

　相変わらず学校内に住んでいる裏染天馬のもとに持ち込まれる様々な謎。
　学食の食器をめぐる不可思議な出来事、吹奏楽部内でのトラブル、お祭りの屋台のお釣りにまつわる謎ほかに、裏染の妹の華麗な謎解きを加えた、全五編＋おまけつきの痛快推理連作集。

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登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

裏染天馬・・・アニメオタクの駄目人間だが、推理力は抜群。父親に勘当され、学校内に隠れて住んでいる。

袴田柚乃・・・神奈川県立風ヶ丘高校卓球部員。天馬が学校内に住んでいることを知っている。

裏染鏡華・・・天馬の妹。私立緋天学園中等部在籍。柚乃に一目惚れしている。

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・もう一色選べる丼
　学食で昼休みを過ごしていた柚乃と親友の早苗は、学食の外に置かれたままの二色丼を発見する。二色丼は、親子丼とカツ丼でカツ丼だけがそのまま残されていた。

　犯人は、テニス部に所属する北里。
　彼は、彼女から手作り弁当をもらったが、中身は彼の嫌いなトンカツであった。そのため、学食で二色丼を頼み、箸を汚して弁当を食べたように見せかけた。
　空いた丼を返却しようとした彼は、彼女が学食にいるのを見つけてしまった。そして、テニス部のミーティングの時間が迫っていたため、空いた丼をそのままにしてしまった。

・風ヶ丘五十円玉祭りの謎
　兄と祭りを訪れた柚乃は、天馬と妹の鏡華、友人の香織と出会う。柚乃たちは、祭りの屋台のほとんどが、お釣りを五十円玉で渡していることを知る。

　犯人は、神主の息子である加村幹義と弟の義次ら四人。
　彼らは、ご縁があるようにという名目で、お釣りを五十円玉にしてくれるよう頼んだ。祭りの日になると小銭の落し物が多いと知った加村兄弟が、小銭の数を増やすために行った。

・針宮理恵子のサードインパクト
　針宮は、吹奏楽部に所属する彼氏・早乙女が、一緒に練習していた女子部員たちから、練習室に入れてもらえない場面を目撃する。針宮は、早乙女が女子部員たちからイジメにあっているのではないかと心配する。

　女子部員の一人は、暑さを和らげるため制服を脱いでいた。その着替えに時間がかかり、早乙女を練習室に入れることができなかった。

・天使たちの残暑見舞い
　演劇部の卒業生が残したノートには、誰もいない教室で少女が抱き合っている場面を目撃した話が記されていた。そして、その少女たちは、目を離した隙に煙のように消えてしまったという。

　少女たちが消えた日は防災の日であり、学校では防災訓練が行われていた。その日に行われた訓練は、はしご車の救助訓練であった。
　生徒たちの前で、閉じ込められて怖がる演技をしていた少女たちは、はしご車のはしごで窓から外に脱出したので、消えたように見えていたのであった。

・その花瓶にご注意を
　私立緋天学園中等部に在籍する鏡華と姫毬は、音もたてずに割れていた花瓶を発見する。

　犯人は、美術部の矢烏征二。
　彼は、大量の花火を生徒に転売していた。
　そのため、花火が綺麗につくのかを確かめようとして、誤って紙に飛び火してしまった。慌てた彼は、手近にあった花瓶の水を使って、火を消した。その際、花瓶も割ってしまったのであった。