masakimary

静かに過ごしていきたい

場面緘黙症の女子学生が本やアプリなどを紹介するブログです。様々な記事を書いていきたいと考えています。何か気になることやご意見などありましたら、お気軽にコメントしてください。

主人公の周囲で起こる日常の事件が神出鬼没なバー「三号館」にて紐解かれる『クローバー・リーフをもう一杯 今宵、謎解きバー「三号館」へ』を読んでみた

 こんばんは、masakimaryです。

 今回は、神出鬼没な都市伝説バー「三号館」のマスター蒼馬美希が解き明かす日常の謎『クローバー・リーフをもう一杯 今宵、謎解きバー「三号館」へ』を紹介します。
 ※ネタバレ注意
 
内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 お代は謎だよーーー時間や場所を問わず、大学構内のどこかで気まぐれに営業を始める神出鬼没の都市伝説バー「三号館」。
 妖艶な女マスター蒼馬美希は、持ち込まれる謎を鮮やかに解き明かす。
 大学生遠近倫人は、理系女子・青河幸の気を惹くために「三号館」に謎を持ち込むが…。

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登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遠近倫人・・・法学部1回生。1年浪人している。京都大学の散策サークル「賀茂川乱歩」所属。
青河幸に片思いしている。


青河幸・・・理学部1回生。1年浪人している。
サークル「賀茂川乱歩」所属。
聡明さとどこを見ているのか解らないような危うさが同居した不思議な女性。


東横進・・・工学部電気電子工学科2回生。
サークル「賀茂川乱歩」所属。
体格の良い男性。遠近とは中学からの付き合い。


宮司麗子・・・文学部2回生。
サークル「賀茂川乱歩」所属。
和服の似合う京美人。京都の老舗企業の令嬢。



蒼馬美希・・・和装姿の若い女性。都市伝説バー「三号館」のマスター。
遠近に対して謎に見合ったカクテルを振る舞う。

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・クローバー・リーフをもう一杯
 法学部1回生の遠近倫人は、京都大学の散策サークル「賀茂川乱歩」の新歓イベントに参加していた。
 新歓コンパのビンゴ景品のために、理学部1回生の青河幸と買い出しをしていた遠近は、経済学部1回生の灰原花蓮が不思議な言葉を残して四つ葉マークのヤサカタクシーに乗り込むところを見送る。
 その後、集合場所に着いた遠近たちは、灰原が乗り込んだはずのヤサカタクシーから、医学部2回生の大溝耕平と文学部2回生の千宮司麗子が降りてくるところを目撃する。
 そして灰原は、新歓コンパに姿を現さず、灰原の連絡先の欄だけが空白になっていた。


 大溝耕平は、千宮司麗子と灰原花蓮の2人と交際していた。
 大溝は、灰原の欠席連絡をサークルメンバーに伝えず、ストーカーの存在を灰原に信じ込ませ、サークルとの縁を切らせようとした。
 事件当日、灰原の乗り込んだタクシーには、大溝も同乗していた。その場面を遠近たちに目撃されていたことを知った大溝は、灰原を別の場所に降ろした後、同時刻にアリバイを作り、恋人である千宮司に信じ込ませたのであった。

 その後、大溝はサークルを辞め、千宮司が新しい会長になることが決定したのであった。
 

・ジュリエットには早すぎる
 サークルの活動で歌舞練場を訪れた遠近たちは、現代版にアレンジされた芝居を鑑賞していた。
 そして芝居終了後、右斜め前の席に座っていたはずの青河幸が、いつの間にか遠近の隣の席に座っていたのであった。


 東横進と千宮司麗子は、青河に片思いしている遠近のために、前もって遠近たちが座る席の周囲のチケットを確保し、知り合いに協力を頼んでいた。
 また、夕食の待ち合わせ時間も中途半端であった。これも、遠近と青河を二人きりにするために、東横と千宮司が気を利かせたものであった。

 なぜ東横は、遠近のためにここまで気を利かせてくれるのか?
 その理由は、東横がずっと千宮司のことを想っていたからである。大溝の女遊びを知っていたのに千宮司に教えなかったことを悔いていた東横は、大溝に先を越されて想いを伝えそびれてしまった。そこで、遠近に自分と同じ後悔をしてほしくなかったのである。

 その後、遠近の計らいにより、東横と千宮司は交際することになったのであった。


・ブルー・ラグーンに溺れそう
 サークルの活動で京都水族館を訪れた遠近と青河は、泣いている女性を発見した(実際は目薬をさしていた)。
 藤ミーナと名乗る女性と水族館を回ることになった遠近たち。
 その後、大水槽の前で尻もちをついた藤は、キャップを被った男がぶつかってきたと話したが、男はどこにも見当たらなかった。
 そしてイルカショーを見ていた藤は、突然出口へと走り去ってしまった。あとを追いかけた遠近だったが、どこを探しても彼女を見つけることはできなかった。
 

 藤ミーナは、右目の視力を失っていた。彼女が尻もちをついたとき、右後ろからぶつかられたので、駆け抜けていく小学生の姿を見ることができなかった。そこで視力に問題を抱えていることを隠すために嘘をついた。
 また、藤はイルカのトレーナーであった。彼女は調教中の事故で右目の視力を失い、治療の前にイルカショーに出演する男性トレーナーの気持ちを確かめようとした。
 そしてイルカのジャンプが失敗した際に、男性トレーナーがそばにいた女性トレーナーをかばうところを目撃してショックを受けた。その後彼女は、職員用の出入り口から外に出たのであった。

 その後遠近は、京都水族館にいた東横進から、藤が男性トレーナーと幸せそうにしている様子を知らされたのであった。


・ペイルライダーに魅入られて
 サークルの活動で祇園祭に参加することになった遠近たちは、山鉾巡行の前夜祭である宵山の初日・宵々々山を訪れた。
 法学部4回生の面裏一初と祭りを回ることになった遠近は、目的地である南観音山に着いたとき、突然頭上で大きな音がしたのを聞いた。
 その後遠近は、青河幸を抱き抱えて「青河が落ちた」「山の南側で倒れていた」と話す面裏の姿を認めた。
 そして青河は、「ぶさん」という言葉と手の中に銀色の紙片を残していた。
 
 
 面裏は、協力してくれる人に単発の爆竹のようなものを渡して、密かに投げるように頼んだ。
 しかし、山鉾が一般公開の前だったので、面裏は自分の特別拝観券を協力者に渡して上に行ってもらった。
 そして青河が音に気を取られた瞬間、ニガヨモギ煙草(アブサン)で意識を奪った。その後青河が未使用の特別拝観券を持っていることで、自分の証言に信憑性がなくなると考えた面裏は、それを奪おうとした。しかし、青河の特別拝観券を奪うことはできず、結果的に破れることになった。

 面裏は、蒼馬美希の認めた客である遠近を利用して、彼女に再開しようとした。回を重ねるにつれて新鮮な謎ではなく、蒼馬に会うために謎を探すようになった面裏は、彼女にとっては招かれざる客であった。
 アブサンの密造酒を使用したペイルライダーは、命令に強制的に従わせるカクテルであり、蒼馬が迷惑な客を帰らせるために振る舞っていた。
 蒼馬に愛してもらうという条件で勝負を挑んだ面裏であったが、蒼馬の一枚上手な策略によって敗北したのであった。


・名無しのガフにうってつけの夜
 ポケゼミで三号館の話をした遠近は、その中である学生が三号館を学生課に通報すると言い出すのを聞く。
 偶然にも三号館を訪れることができた遠近は、蒼馬にその話をして退出した後、三号館の火事を目撃する。

 三号館をよく知る学部7回生の天一坊という男性に話を聞いた遠近は、三号館が三合会という秘密結社と関係があることを知る。
 三合会は、地下教室の一つをバーに改装したものであり、学生や職員、教員によって隠蔽され続けていた。そして、三合会は学生課に通報され、職員たちが三合会の開かれていた地下教室に踏み込んだときには、一切の備品が跡形もなく消えていたという。これは、火事で消失した三号館と似たような現象であった。

 
 犯人は、遠近が履修していたポケゼミ担当の御園生教授であった。
 御園生は、遠近から三号館の話を聞き、自分が三合会の会員であったことがバレると、学内での政治力を失うと考えた。そこで、証拠隠滅をしようと三号館にあるものを盗み出そうとした。
 しかし、蒼馬美希は、保険として三号館のあるプレハブ棟に部屋を一つ足すことによって、三号館がなくならないように細工していた。また、プレハブ棟は停電していたため、暗闇では夜目が利かない夜盲症の御園生は、やむなく三号館(細工部屋)に放火したのであった。

 
 
 遠近は、蒼馬が自分の来店をどのように先読みできたのかを考えていた。そして、謎を見つけるのは決まってサークルの活動日であったことに思い至る。
 三号館ーーー大学側に摘発されないように安全な場所を渡り歩き、常連客の生活サイクルを把握するーーーそうした情報の全てが集まる場所・学生課に向かって、遠近は足を運ぶのであった。