masakimary

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『少年検閲官』シリーズ第2弾『オルゴーリェンヌ』を読んでみた

 こんばんは、masakimaryです。

 今回は、『少年検閲官』シリーズ最新作『オルゴーリェンヌ』を紹介します。
 ※ネタバレ注意

内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 書物が駆逐される世界。
 旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった〈ガジェット〉をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが・・・。
 そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!
  先に到着していたもう一人の少年検閲官カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。

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登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリス・・・旅を続ける少年。父親の形見であるチョーカーが〈記述者〉のガジェットになっている。


エノ・・・少年検閲官。心をなくす代わりに、検閲官としての能力を手に入れた。一人で外出することができない。


ユユ・・・検閲官に追われる少女。声を出すことができない。洋館の使用人。右腕が義手で、〈犯人〉のガジェットになっている。


カルテ・・・少年検閲官。気だるげな少年。〈氷〉のガジェットを求めて、洋館を訪れている。


クラウリ・・・洋館の主人。


ミウ・・・オルゴール職人。唯一の女性職人。


アリサト・・・オルゴール職人。


ヤガミ・・・オルゴール職人。転落死する。


シグレ・・・オルゴール職人。後頭部にオルゴールを落とされて死亡する。


マキノ・・・オルゴール職人。一番の下っ端。絞殺された後、灯台の鉄骨に串刺しにされていた。


キリイ・・・旅を続ける音楽家。体が弱い。

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 洋館に到着したとき、鞄を見つけたクリスたちは、それがオルゴール職人・マキノのものであると知る。マキノを探しに外に出たクリスたちだったが、そこでマキノの串刺し死体を発見する。
 その後、ヤガミが廃墟で転落死体となって発見され、シグレも密室と化した洋館に繋がる塔で後頭部にオルゴールを落とされて死亡する。死体のそばには、それぞれ月に関係する詩が残されていた。
 洋館に伝わる失踪した使用人の噂や愛した女性をオルゴールにした男の幽霊の噂もあり、疑心暗鬼に陥っていくクリスたち。
 被害者となることを恐れたアリサトは、ユユを人質にとり、シグレたちが使用人失踪に関わっていたということを告白した。
 その後、カルテから洋館の主人・クラウリを犯人とする推理が語られる。いつの間にかいなくなっていたクラウリを追って廃墟に向かったクリスたちは、クラウリからユユを犯人とする推理を語られる。そして、語り終えたクラウリは、飛び降り自殺をしてしまう。
 その後、ユユと再び会う約束をして、クリスとエノは本土に帰るのであった。

 事件が終わり、本土に戻ったクリスたちは、帰りを待つキリイ先生の元へ急いでいた。その途中、エノから事件の真相が語られる。
 犯人は、被害者を直接的に殺害していないため非力な人物であると考えられていた。また、トリックさえ仕掛ければ海墟の外にいてもできる犯行であった。


 犯人は、キリイ先生であった。
 洋館に伝わる愛した女性をオルゴールにした男の話は実話であり、キリイ先生がその男の正体であった。
 彼は、修復不可能のオルゴールを復元し、依頼人である洋館の主人にオルゴール職人として働いてほしいと頼まれる。その後、主人の娘とオルゴールを通じて仲良くなった。
 しかし、彼女が婚約者のオルゴール職人・シグレに突き落とされたことを知った彼は、シグレとその仲間の男・ヤガミに大怪我を負わせた。そして、彼女から自分をオルゴールにしてほしいと頼まれた彼は、彼女の願いを叶えたのであった。

 キリイ先生の元に到着したクリスたちは、キリイ先生が既に亡くなってしまったことを知る。彼は、自分に残された全ての力を使って犯行に及んだのであった。
 キリイ先生は、クリスに贈り物を残していた。それは、ミステリを記述することを目的にしているクリスのためのタイプライターであった。

『親愛なる友人へ
 私が彼女を音楽にしたように君が私を物語にしてくれ
 キリイ』


※ガジェット・・・ミステリの要素が記述されている宝石のようなもの。形状はそれぞれ異なる。