書物が駆逐された世界で繰り広げられる少年たちの探偵物語『少年検閲官』を読んでみた
こんばんは、masakimaryです。
今回は、メフィスト賞作家・北山猛邦の新境地である『少年検閲官』を紹介します。
※ネタバレ注意
内容ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何人も書物の類を所有してはならない。もしもそれらを隠し持っていることが判明すれば、隠し場所もろともすべてが灰にされる。僕は書物がどんな形をしているのかさえ、よく知らないーーー。
旅を続ける英国人少年のクリスは、小さな町で奇怪な事件に遭遇する。町中の家々に赤い十字架のような印が残され、首無し屍体の目撃情報がもたらされるなか、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年・エノに出会うが・・・。
書物が駆逐されてゆく世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。
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登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クリス・・・英国人の少年。ミステリを求めて旅を続けている。
エノ・・・少年検閲官。心をなくす代わりに少年検閲官としての能力を手に入れた。一人で外出することができない。
ユーリ・・・クリスが宿屋で出会った車椅子の少年。書物を読んでみたいと考えている。
アサキ・・・宿屋の主人。ユーリの父親。
キリイ・・・旅を続ける音楽家。体が弱い。
クロエ・・・自警団隊長。首を切断されて死亡する。
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アサキは、長く生きられないユーリのために書物を読ませてあげたいと考えた。しかし、書物の所有を禁止され、紙が不足しているので、読ませてあげることができない。
そこで、町中の家々に赤い十字架の印を残し、廃棄された壁紙を回収して書物を作ることにした。しかし、壁紙だけではとても足りなかった。
アサキは、『首切り』のガジェットを発見し、人間を紙にする方法を思いつく。そして、『探偵』として、ガジェットを利用し、4年前から多くの町民の殺害を繰り返していた。
そして、クロエを生きているように見せかけて、犯人に仕立てた。
クリスの父親の形見であるチョーカーは、実は『記述者』のガジェットであった。
クリスは、ミステリを記述するために旅を続けることをエノに告げ、ユーリにいつか書物を見せることを約束したのであった。
※ガジェット・・・ミステリの要素が記述されている宝石のようなもの。形状はそれぞれ異なる。